言いたい放題 第25号 「無冠、悲憤慷慨の図」

 朝日新聞の12月19日、20日に行われた世論調査で、鳩山内閣の支持率が急落したことで、ようやく国民の目にも状況が正しく映ってきたのかと、少し安堵の思いを持った。
 この言いたい放題で、私は何度も鳩山政権の欠点の多さを批判、それは、鳩山首相の指導力の欠如、いやそれ以上に総理としての資質の無さによると指摘して来た。
 選挙の為に、民主党はにわかづくりのマニフェストを発表、そのほとんどが「利益誘導」という選挙法に違反する公約で、その破綻は目に見えていた。
 子供手当で、5兆6,000億円という驚くべき支出は、この最悪の財政事情の中で出せる筈もない。
 一時、所得制限を持ち出したが、年収2,000万円を基本とする方向で検討し、しかし、所得を把握する方法がないと見送った。果ては、地方に負担させるといってみたり、鳩山首相などは高額所得者を念頭に、「地方自治体に寄付してもらえる制度をつくる」など全く無責任極まりない話ばかりなのだ。
 結局は、扶養控除などが廃止されていき、中学生までの子供を持たぬ人々の負担が一層増すだけという結果になる。
 しかも、この子供手当が、直接子供を育成させる為に確実に使われるかといえば、そうでもないという判断がもっぱらなのだ。
 私の周囲からは、要は、国が新たに一部の人々に生活支援をするに過ぎないとの声があがっている。
 それは一体、福祉なのか、教育なのか、あるいは生活保護なのか、さっぱりわからない。結局は、政権をとる為の、つまり選挙に勝つための単なる好餌だったのかといわれても弁明の余地はないのではないか。

 ガソリン税などのいわゆる暫定税率廃止公約も、小沢幹事長からの強硬な申し入れで、腰くだけとなって、廃止はするけれど形を変えて新たに徴税の仕組みをつくるという。
 いずれ温暖化対策税という名の環境税を2011年度に導入するが、その間のつなぎ税を考えていこうということのようである。
 まったく子供だましの、小手先だけのやり方で、まさに国民を愚弄しているといって過言ではない。
 暫定税率を廃止すれば2兆5,000億円もの税が入らなくなる。これでは概算要求で出されている95兆円の財源が確保が出来ない。だから事実上、現在は無理という理屈だが、そんなことは最初から判っていることだ。
 第一、民主党の大臣、副大臣、政務官の責任をもって出した95兆円をこえる概算要求額そのものが、かつてない、あまりにも肥大過ぎるのだから、これを如何に圧縮するかをまず考えるべきなのだ。
 大騒ぎした例の仕分作業は、無駄削減とはいうものの、目標の3兆円にほど遠い約6,800億円にとどまり、ほとんど成果をあげていないのである。まったく見せかけばかりの、大芝居だったのである。
 更に、今度はたばこ増税も行うと決めた。1本5円程度を考え、1箱100円の値上げになるらしい。1本1円の引き上げで国と地方で、税収約1,300億円というから大きい。
 不愉快なのは、「税収を得る為というより、国民のみなさんの生命を大切にする、健康の為という発想を重視したい」と鳩山首相がぬけぬけとのたまったことだ。
 私はとっくに煙草をやめて今は吸わないが、愛煙家にとって健康云々は大きなお世話で、それよりも「負担をお願いしたい」と正直に言うべきではないのか。

 沖縄基地問題については、あまりにも迷走が続いて、今やあきれて批判する気も起こらない。
 県外移転、あるいは国外移転など、初めから不可能な公約だった。
 内閣不一致のバラバラ発言も問題だが、そもそも鳩山総理自身にきちんとした、どうするかという明確な方針が全く無いのだから話にならない。
 ひたすら先の見えない先延ばしで、困るのは沖縄県民と米国側だ。オバマ大統領に「私を信じて」(Please trust me)と言い、早期履行を約束したと米側は受けとめたのに、翌日にはこれを反故にする。
 又、12月12日、コペンハーゲンでのクリントン会談で、普天間問題の先送りについて氏の理解を得たと発言、これが嘘であったことも発覚した。なんとクリントン長官に藤崎一郎駐米大使が急きょ呼ばれて、そんなことは言ってないと不快感を示されたという。外交上、かつてこんな無責任な失態はなかった。
 アメリカでは、日本批判が益々深まり、日本と付き合ってはいられないと、いわゆる「日本づかれ」という言葉まで流行っているという。
 小沢幹事長は、時期を合わせたように、600人も引き連れて中国詣でを行い、一層、アメリカ離れを引き立たせる。
 
 折から、コペンハーゲンでCOP15(国連気候変動枠組み条約締結国会議)が開かれていたが、決裂は回避されたものの、焦点だった各国の温暖効果ガス排出削減の具体的中身は、全て先送りとなってしまった。つまり懸案の多くが積み残されたままで終ってしまったのだ。
 全体の流れを見ると、先進国と途上国グループ(G77プラス中国)との激しい対立が原因だが、この中での中国の動きが大勢を決めたといえる。
 今や、中国は米国を抜いて世界最大の排出国になっているのだが、むしろ、先進国に対抗する中心となって最後まで抵抗した。
 本来なら、米国が最大のまとめ役の筈なのだが、国内議会の背景もあって、その力を発揮することが出来なかった。
 出来なかったもう一つの理由は、日本との連携プレーが皆無だったことも挙げられる。日米で協力し、中国を説得することが出来なかったことは大きなマイナスだったが、これは昨今の日米間のきしみが原因である。
 COP15では、日米首脳会議はついに一度も開かれなかったのである。こんな例はかつてほとんど無い。

 鳩山首相の母親からの子供手当、9億円についての説明責任は、未だに全く果たされていない。
 何度も指摘したが、これは政治献金疑惑と並んで、脱税事件でもあるのだ。
 鳩山首相は東京地検に、これは会計責任者のやったことで、自分はあくまで知らなかったとの上申書を提出したという。贈与税の修正申告を行うともいわれているが、納めれば罪が無くなるというのでは決してない。
 明かな脱税事件で、一般人なら当然逮捕されるのが常識で、総理大臣だからといって許されることではないのだ。
 小沢幹事長も、西松建設の違法献金をめぐって第一秘書の初公判が行われ、最近は新たに4億円の土地をめぐっての疑惑も浮かび上がってきている。
 12月21日の記者会見で、「同じように処理していた人が誰もとがめをうけない。なぜ僕だけなんだ。権力は公平公正な使用をしなくてはいけない」と、改めて検察批判を展開した。この人は、一体何を考えているのだろうか。まるで子供が、「僕だけが悪いんじゃない」と駄々をこねている図ではないか。
 「民主党の中心人物、2人そろって全て自分本位、身勝手な言動ばかり、これで世の中が通用するのだから、不思議だ。」と思わずため息が出るではないか。
 50%を割った程度の支持率では、こうして思いをめぐらすと、甚だなまぬるいと言わなくてはならない。
 ただ困ったことに、自民党の支持も相変わらず低迷したままだ。そこまで魅力が無くなったのか。
 「なんとかならないか!」
 バッジの無い私は、ひたすら悲憤慷慨するのみであった。・・・「無念」。