言いたい放題 第21号「あきれた大訪中団」

 600人という大集団を引き連れて中国を訪問した小沢一郎民主党幹事長。今や得意満面、まるで独裁者然としていて薄気味悪い。
 中国の国際情報紙には、世界交流史上想像を超す規模と書いているが、日本人の目から見れば大きな違和感がある。どう見てもあまりにも異常だ。
 民主党が政権を得る2年前も、400名の訪中団を連れて中国詣でをしているが、小沢氏の中国重視はライフワークという。しかし、ことは日本の外交全体に及ぶことで、特に米国との気まずい状況がより深刻化している今、こうした行動に大きな危惧を抱かない訳にはいかない。
 昔、中国は世界の宗主国と自ら考え、日本も中国の「臣」として、大勢の人々を中国に遣わし貢物を贈り、貿易業を許されたりしたが、小沢訪中団も、なんだか拝謁しているようで情けない。
 しかも、小沢チルドレン約80人を含む143人もの国会議員が大挙して参加した。こんなに日本から国会議員が居なくなっていいのかと云うマスコミ記事もあった。全くその通りだ。
 今の民主党は小沢氏の一人舞台で、全ては彼の判断で事が決まるといわれている。
 鳩山首相までも、常に小沢氏の顔色を伺い、要は体よく雲の上にまつり上げられているに過ぎない。
 もっとも、これは小沢さんが悪いのでは無くて、鳩山氏があまりにも無能のせいだが・・・。
 特に小沢チルドレンといわれる人々を中心に、新人の141名は、あまりに小沢流の締付けが厳しくて、ほとんど萎縮、というよりも畏縮(恐れて縮む)状態であるという。
 議員個人としての発言も政治的提言も一切許されない。ひたすら決められた研修と、次の選挙の為の地元廻りの徹底を命ぜられ、それを必死に実行している。
 実際、新人達は大素人集団だから、研修や次の選挙に備えることは必要だが、そんな人達に国民の血税で莫大な歳費を払い続けるのは全くおかしい。さきの仕分け人作業の中で、こうした議員のありようや、国会の無駄を省く議論が皆無なのも不思議というより、不見識だ。
 今回の訪中にあたっては、10月頃に党所属議員にパンフレットが配布された。勿論、参加は強制ではないのだが、小沢氏の顔色を伺い、行かなければ立場が危うくなると、本人は勿論、秘書や後援者で大挙参加となったのである。

 テレビで度々放映されたから、多くの国民は見たと思うが、あの胡錦涛主席と議員一人一人の記念撮影の光景は一体なんだ、と私は絶句した。
 胡主席の顔をみると、如何にも義理でやむなくという風情で、むしろ当惑そうで不快感さえただよっていた。
 山岡国対委員長が、まるで生徒に対するように次々とツーショットの場面をつくり、議員が、胡主席に媚を売りながら、恭々しく両手でおしいただく姿は、本当にやり切れない思いだった。
 議員達は、このツーショットの写真を各々の新聞などで麗々しく飾り、自分が日中関係の為に、如何に働き成果を挙げたかを自慢気に書きまくるに違いない。
 応援者は、正体見たり枯れ尾花で、あきれて白けるに違いない。

 中国側は10日夜、人民大会堂に議員団を盛大に招いた。小沢代表団長が入場する光景がテレビに映ったが、全員が起立して拍手で迎えた。なんだか小沢ワンマンショーといった感じで、これも気味が悪かった。
 舞台では太鼓や、歌や踊りが華やかに続いたが、美酒に酔い、恍惚とした様子の議員の顔を想像し、日本は大丈夫かと本当に心配になった。
 今回の大歓迎で、すっかり中国贔屓になって、中国の言い分をなんでも「ごもっとも」と言う議員が増えたら大変だと思うのだ。
 「いや、そんなことはない」という人もいるだろうが、はっきり言ってあの面々の様子を見ると、心許ないこと甚だしいのだ。
 不倫で、「ぶってぶって」の姫井議員の喜々とした姿も度々画面に出ていたが、もともとそんな連中に日本の政治を任せることは出来ないのだから・・・。

 ところで、何か政治的成果はあったのか。
 小沢幹事長は人民大公堂で胡錦涛国家主席と会談したが、その時間はわずかに30分と短いもの。つまり、ほとんど儀礼的な内容で懸案問題は素通りであった。
 新聞では「日中関係の強化を目指すことで一致した」とあったが、これなどは至極当たり前のことで、格別な結論ではない。
 東シナ海のガス田開発問題や北朝鮮核問題、更には最大の課題、尖閣諸島の領有権など全く触れないのはどうなのかと疑問に思う。
 記者団に「今回は政治的課題を議論しに来たのではない」と語ったが、全体的にみると、前述のように、小沢幹事長の力を誇示することがむしろ目的であったように思われる。
 つまり、今や、民主党政権での実力者は鳩山首相ではなくて、小沢幹事長自身であることを中国に印象づけようとしたのだ。
 しかも、胡主席に、小沢幹事長は、来年の参議院選挙にふれ、これを勝利させて、「より思い切った議論が出来る環境をつくって、中国関係を深めるのだ」とまで述べている。
 中国との議員外交は、そもそも田中首相が日中国交正常化を果たして以来、自民党が一貫してこれを進めて来た。政権交代を期に窓口を民主党に一気に切りかえようとする思惑がありありである。
 「傍若無人」とは、まさにこうしたことをいうのである。

 小沢氏は、訪中団を残したまま、直ちに一人韓国へ向かって李明博大統領と会談したが、日韓外交でも、自ら主導権を握ろうとしているのではないか。
 もっとも、中国や韓国はしたたかな国で、決して小沢氏の掌(たなごころ)にあるような存在ではない。むしろ、その逆で、今後、日本がいいように振り回される危険性のほうが大きい。厳重に警戒する必要があると私は思っている。
 韓国では、「中国には143人も国会議員が行ったのに、韓国にはたった1人だけか」と、その差に不満の声も起こっているという。
 そんなことを知るや知らずや・・・。
 小沢氏は、いつも独断専行、やがて周囲の人心が離れ、裸の王様になって、自ら一人去っていくパターンが多い。
 田中角栄氏、竹下登氏、金丸信氏と主を次々と変えて、そして細川政権から自自公政権へ、更に今の民主党政権と渡り歩いて来た。
 一体、いつ又一人旅に向かうのか。
 ただし、今回は選挙を背景に、あまりに大勢の部下を従えているだけに「それまでになんでもやってしまおう」と、思いのまま行動するのではないか。それこそ日本の将来にとって大変だ。
 小沢大訪中団の意味を、みんなで深く考える必要があるのではないかと私は思っている。