こんなに連日不正が報道されているのに、自らの責任も、いや説明すら行わずに、のうのうと過ごすことが許されるのだろうか。
 鳩山首相をめぐる献金疑惑、いや、今や明らかになった脱税問題だ。
 当初は、亡くなった人や、勝手に利用した人の名前の偽装献金であった。鳩山首相は6月に弁護士と共に記者会見し、四年間で193件、2,177万円が偽装であると説明し修正申告すると発表した。
 しかし、これは真っ赤な嘘で、5万円以下の匿名小口献金(報告書に総額だけ記載されている)計約1億7,717万円の大半も偽装、この他に、政治資金集めのパーティ券収入の水増し分が約1億5,000万円になるという。
 なんと、今、現在判明している偽装献金だけでも、3億5,000万円にものぼる巨額なものなのだ。
 これは明らかな政治資金規正法違反だが、どうやら公設秘書の在宅起訴だけで終るのではないかともっぱらの観測である。
 鳩山氏は「自分は知らない」と言い張り、責任を秘書に全て押しつけているが、全く知らないなど、あり得ないことだ。
 今までの数々の例を考えると、秘書逮捕は当然で、在宅起訴だけというのも、うなずけない話だ。
 現職の総理だということでの躊躇や、政局になることを避けようという思いがあるのかも知れないが、法律違反行為について、そんな配慮は不必要、かつ誤りだ。

 11月下旬になって、又、新たな疑惑が生まれた。
 鳩山家の資産管理会社、六幸商会から、鳩山首相に流れた金の総額は、5年間で、11億5,000万円に達するというのだ。しかも、10年も前から続いているというのだから、その総額はどこまで増えるか想像できない程である。
 鳩山首相は、これまで、偽装につかわれたのは自分の資金で、母の資金が充てられたことは「知らない」と主張して来た。
 しかし今回、実は母からの資金が9億円に達することが明らかになった。
 毎月1,500万円、年間計1億8,000万円、このペースで、5年分合計が9億円というのである。
 これらのお金は鳩山首相の他の関連団体や、彼の私的な活動に使われたというのだが、これはもう単なる政治資金規正法違反ではない。もっとも悪質な脱税だと言わざるを得ないのである。

 そもそも贈与税は、普通50%徴収されるから、鳩山首相が受けたお金に対して贈与税として4億5,000万円支払っていなければならない。
 これに重加算税がつき、その上、仮に5年間としても延滞税が加わるから、鳩山首相が払うべき税は軽く6億円を超える額になる。それを払わずにごまかしている訳である。
 これほどの金額になれば、まず脱税容疑での逮捕は当然で、これは一般的常識ではないか。
 生前贈与なら20%課税だが、その場合は、事前に税務署に届けて承認を得ていなければならない。
 しかし、一切、そのような手続きはしていないのだからこれに該当しない。
 一応、実母から提供された資金について、鳩山首相は、貸付金だと主張しているようだが、それ以外に弁明の言葉はないだろう。
 貸付金ならば、利子はいくら、担保は何、返済はいつなど、様々な条件が整っていなければならない。
 そんなものは勿論何一つ決めてないのだから、「貸付金」というのはどうみても言い訳に過ぎない。
 友人の税理士に聞くと、税の世界でこのようなケースは、いくら貸付金などと言っても、全く認められる筈もなく、確実に贈与と判断されるという。

 鳩山首相は、「私の知らないところで、そんな大変なことが起きていると聞いて、驚いている」とうそぶいていた。驚いているのは鳩山首相ではなく、国民の方なのだ。
 自分は豊かな家に生まれたから、いちいち細かいことは知らないというが、11億5,000万円の金額が細かいことか!
 
 不況にあえぐ人々が、苦労の中を日々必死に頑張っている。この人達を守り支えるのが国の政治だ。
 庶民の暮らしを知らず、いや知ろうともせず、「自分の疑惑が東京地検の手で解明されることを信じています」と他人事のように言い続ける。もはや、鳩山首相に国を背負う代表者たる資格はない。
 直ちに総理大臣を辞任すべきだ。

 それにしても不思議なのは、マスコミや世論の動きである。
 この一連の不祥事が、もし、麻生さんだったら、世論やマスコミは燃え上がり、一気に退陣に追い込まれるのは確実だ。
 鳩山さんなら、何故許されるのかという今の状況が、私には分からない。
 お金持ちが自分のお金をつかうのだから、という発想が、もしあるとしたら、それはとんでもない誤りだ。
 いくらお金があっても、政治活動にせよ他の経済活動にせよ、勝手につかえるなら法律はいらない。
 鳩山さんの一連の動きは、法律に違反したマネーロンダリングである。
 暴力団が稼いだお金を、様々な形で浄化させるマネーロンダリングを許す人はいない。
 政治資金規正規制法違反、脱税、背景にあるのがマネーロンダリング、そのやり方は暴力団の場合と少しも変わらない。これが糾弾されずにうやむやになったり、「まぁいいや」と許すような土壌があるとしたら、本当に恐ろしい。

 前回の選挙で破れて、私は時々、一体何故、と不思議に思う時がある。
 朝から晩まで政治に没頭し、国家の為、地元の為に、必死に努力して来たと私は自負している。
 勿論、全て百点であるとは、自惚れてないが、何もしなかった他の人と入れ替えさせられる謂れはないと思っている。
 よし、私の場合以外を見てもそうだ。
 例えば、この首都東京、自民党の衆議院議員は24人居た。
 しかし、正確にいえば直接選挙で勝てたのはたった4人であった。(比例で入った人は5人、私は自民党の規定である年齢制限で対象外)
 補欠当選を除いた、20人の代議士は、破れなければならない程、不適格であったのだろうか。
 失礼だが、昨日今日、突然出て来た、名も知らぬ実績ゼロの人と比較して、遜色があるとは絶対に思えない。いや、みんな自民党都連に所属し、立派に働いて来た人たちばかりだ。
 勿論、自民党への批判は嵐のように激しく、その責任は各々の自民党代議士に及んでいることは承知している。反省すべき点もあることは自覚している。
 それでも、「政権交代」のかけ声で、自民党が大敗する程、ひどい政党だったのか。世界の激しい荒波に翻弄されながら、不安がいっぱいの危うい小舟の日本丸、その国をともかくもここまで守り支え続けて来たのはまぎれもなく自民党であったと私は思っている。
 政権交代して、今、どれだけ変わったのか、どのように良くなったというのだろうか。
「まだ政権をとって日が経ってないから」は、鳩山首相の口ぐせだが、スタートから、良い意味での変化は見られない。いや、むしろ逆に、マニフェストの変更、政策のブレ、不況に対する無策、外交での失敗、内閣不一致、大臣達の軽い言動、更に総理の金銭疑惑など、なにをとっても悪い状態ばかりではないか。
 アメリカのオバマ大統領の登場は、「チェンジ」の一言だった。しかし、あの熱狂的人気は、その後の無策ぶりで、今や支持率50%を割る状況となっている。アメリカ国民の政治への関心の高さと、正しい敏感な判断が的確に示されている。
 鳩山支持率、まだ60%以上・・・。
 一体、どうして、と思うのは私一人ではない。
 このままでいいのだろうか、この国の政治の前途を思うと不安でたまらないのである。