第880回「緊急事態宣言延長」

 深谷隆司の言いたい放題第880回

 「緊急事態宣言延長」

 3月5日、特別措置法に基づき首都圏1都3県で発令している緊急事態宣言の2週間延長が決まった。

 「4知事一体」を制した電撃発表とマスコミは書いたが、緊急事態宣言というと、何時もしゃしゃり出て、自分の手柄のような顔をする小池知事の厚顔に、うんざりしていただけに、私は大いに結構と思った。

 前回緊急事態宣言が発令されたのは1月8日であった。当時菅首相は、経済への打撃を心配してぎりぎりまで発令を抑えていた。国全体のことを思えば、国政を担う立場として当然の配慮であった。

 ところが小池知事を中心に1都3県の4知事が西村氏に緊急事態宣言発令を要請、結果的に知事らに追い込まれて決めたという印象が残り、「後手」と言う批判を集めることになってしまった。

 小池氏は今回も同じように動いたのだが、他の知事らの足並みはそろわず、小池知事のシナリオは一気に崩れた。

 3日、首相が延長方針を表明する1時間前、4知事のテレビ会談が始まったのだが、異論が相次いで小池知事だけが浮いてしまった。ようやく他の知事が小池知事に利用され振り回されていたことに気づいたのだ。遅すぎた感があるが、気づいただけましかと思っている。

 一体、緊急事態宣言はなぜ発令されるのか、感染者が増加しているからか、重症者、死亡者が増えるからなのか。

 小池知事は、それよりも医療提供体制がひっ迫している、医療崩壊が起こる前に自粛・規制を要請するということを考えているらしい。

 医師会も同じことを言っているが、日本はOECD(経済協力開発機構)内で病床数はトップを誇っている。感染者数、死亡者数が桁違いに多い米国で医療崩壊が起こっていないのに、医療先進国日本で騒がれることが不思議でならない。

 これまでコロナ患者の受け入れ先は国公立病院が中心で、大学病院を除く民間病院は風評被害や病院内の感染を恐れて全く消極的であった。だから医療体制がひっ迫するのだ。

 小池知事が本気なら、民間病院に協力を求めるべきなのだが、そんなことはしていない。

 やっていることは毎日テレビに出て恐怖心をあおっているだけではないか。自分の宣伝の為に都民の税金、都の広報予算を11億円も使っていることに、もうそろそろ都民も気づいていいのではないか。

 今回の感染症法の改正で、民間病院に対して病床を増やすように「勧告」出来るようになった。従わない場合は病院名を公表するという罰則もある。小池知事はこの法律に基づいてコロナ対応病院を増やしていけば医療崩壊はかなり避けられる筈だ。それさえも出来ないようなら話にならない。

 緊急事態宣言下、又苦労の多い日が続くが、もう少しみんなで頑張るしかない。小池知事の無為無策ぶりをしっかり見つめ、正しい世論を作ることにも力を注ぎたいものである。




第879回「橋本聖子会長就任の英断」

 深谷隆司の言いたい放題第879回

 「橋本聖子会長就任の英断」

 オリンピック夏冬7度の出場経験、JOC副会長や日本スケート連盟会長などを歴任、しかも令和元年から五輪相を務め、まさに会長にピッタリの人、そんな橋本さんが会長に決まって本当によかったと思っている。

 それにしても現職の大臣を辞めて、問題山積の会長を引き受けるには大変な心の葛藤があったのではないか。その決断に敬意を表したい。

 今の時代、このように世に出ると、マスコミを中心に、あることないこと、さまざまに言われ叩かれる。早速過去のセクハラ事件(私はそうは思っていないが)を週刊誌が特集し、テレビでもコメンテーターらが取り上げていた。これには出演中の杉村太蔵君、猛然とかみついていたが珍しい一幕で、溜飲が下がった。

 「海外からも批判の声」と言う自称評論家がいたが、例えばニューヨークタイムズなどを見ると、「橋本氏は森氏の操り人形だという日本国内の識者の発言がある」と紹介している。   

 なんのことはない、日本発、日本人自身の発言が外国で拡散され記事になっているのだ。

 全体的にみて「女性任命は画期的」と評価され、大きな批判や反発は少ないのだ。

 「橋本さんの陰に森さんがあることが気になる」という女性識者?もいたが、一体森さんがどんな悪いことをしたというのか。

 今月の月刊誌「Hanada」で私は「森叩きは集団リンチ」とのタイトルで述べている。

 軽口をたたいたことは咎められるが、彼が具体的に「女性蔑視」の行動を起こしたことなど、過去を振り返っても皆無なのだ。

 森さんの発言をオリンピック憲章違反と言うなら、来年2月の北京オリンピックなどは絶対に開けない。

 中国のウイグル族など少数民族への大虐殺、その「再教育」とやらの過程で、性的暴行や拷問を受けた女性たちの証言は英国BBC放送などが報じている。強制的な不妊手術なども行われているという。女性蔑視どころか、ジェノサイド、女性虐待だ。これほどオリンピック憲章を踏みにじっている国は無い。森発言とは比較にならない憲章違反、いや蹂躙ではないか。

 すでに米ポンペオ前国務長官はじめ世界各国の高官たちが開催地変更など非難の声を挙げている。

 日本ではなぜかそのような声が聞こえない。森批判を声高に言うなら、北京オリンピックボイコットぐらいの勇気ある発言をすべきではないか。弱いもの叩きは得意だが、強いものは叩けない、日本人はそんな国民になったのか。


 「森の陰発言」に対して、橋本新会長は「森前会長は私にとって特別の存在、アドバイスを頂かなければいけない局面もある」と悪びれることもなく素直に述べていた。

 コロナ感染者も徐々に少なくなり、ワクチン接種も始まった。まだ油断はできないが、こうした背景はオリンピック実現の方向への朗報である。

 「火中の栗を拾う」決意で会長を引き受けた橋本会長、これから為すべき困難な仕事が山積している。

 アスリートとして一世を風靡した熱意と実力をもって、なんとか困難を乗り越え、「コロナ禍を克服した素晴らしきオリンピック」と後世に伝えられるような大会にして欲しい。 みんなで橋本会長にエールを送りたいものである。



第878回「森叩きは集団リンチ」

 深谷隆司の言いたい放題第878回

 「森叩きは集団リンチ」

 私が早稲田大学雄弁会当時の仲間の一人が森喜朗さんだった。やがて小渕総理が亡くなった後、森さんは総理になったが、通産大臣であった私は留任になり、森内閣の閣僚としてともに国家のために働いた。

 ところが「神の国発言」でごうごうたる批判を浴び、支持率9%となり選挙も惨敗、私も苦杯をなめた。

 森さんには昔から失言癖があった。ここでこんなことを言うと誤解されると何度も思ったものだが、彼は意にかえさず言いたいことは率直に言い続けた。しかし、それでもなお、私は彼に友情を感じ、決して憎めない人だと思って来た。それは彼の人柄をよく知っているからだ。彼の心は優しいし、物事を率直に受け止め、精いっぱい働く人と認識していたからである。

 今度の発言を聞いた時、ああまた失言だなと思ったが、まさかここまで森叩きが高まり、辞任に追い込まれるとは思わなかった。

 どう見ても彼が大見得を切って「女性蔑視」を言ったわけでない。それは発言の締めくくりの部分を聞けば明らかだ。彼は「私どもの組織委員会にも女性は7人ぐらいいますが、みんなわきまえておられます。お話もきちんと的を得たものが集約されて非常に役に立っています。欠員があると、すぐ女性を選ぼうということになるわけです」と語っている。むしろ女性を称賛しているではないか。

 ところが国会での野党やマスコミは挙げて「女性蔑視」「男女差別」と大騒ぎし、まるで集団リンチ、集団いじめになっていったのだ。

 森氏が謝罪会見をした時の態度が火に油を注いだと言われているが、あの時の記者たちの態度はどうであったか。まるで国民代表になったかのような糾弾の姿勢で、もっぱら「早く辞めろ」の大合唱であった。私だったとしても不快感を抑えられなかったと思う。

 国会では野党の女性議員が白い服を着て白い花を胸に抗議の姿勢、私から見れば「茶番」としか見えなかった。

 国会での蓮舫氏などの質問ぶりに、私は何度も腹を立てたものである。菅首相に対して敬意や礼儀は全くなく、傍若無人な発言の繰り返し、高飛車で無礼極まりない態度の連続である。

 日本では女性が虐げられていると外国の人は見ているとマスコミは騒ぐが、あの女性代表蓮舫氏の姿を見れば、とんでもない話で、女性の地位は守られていて、虐げられているのは国を代表する首相なのである。

 アスリートからの批判続出と言うが、特に自主的な発言ではなく、ほとんどが記者からの質問に答えたもので、聞かれれば当然「男女差別は間違っている」との共通した答えになる。大坂なおみ選手が、「辞めるべきか」と聞かれて「わからない」と答えていたがあれが本音なのである。

 芸人の某氏は最近テレビのコメンテーターとなって、便乗したように「聖火ランナー辞退」と発言、脚光を浴びている。よく聞くと森さんが「何が何でもオリンピックをやる」と言ったことが気に食わないというのだが、組織委員会会長としてオリンピック開催の決意を述べただけのことで当然の話ではないか。

 たぶん「芸人は人気者だから人が集まる、田んぼで走ってもらうしかない」と言ったことが気にくわなかったのではないか。

 しかし、この発言にも一理ある。新型コロナが蔓延して日本全体が危機にある。マラソン大会でも沿道に集まらないように呼び掛ける時代だ。平時ならともかく、芸人や有名人たちの聖火リレーは人が集まり密になる。この際考え直した方がいいのではないか。

 ボランティア参加者の辞退が増えているというが、森さんのためのボランティアではないのだから、この動きも理解できない。

 ある記者が「ボランティアの人に対する感謝の心が無いからだ」と言っていたが、もともとボランティアは感謝を求める性質のものではないし、まだ働いたわけではないのに、感謝せよというのも理解できない。

 世界から批判が相次ぐとマスコミは言うが、マスコミが必要以上に外国に「日本は男女差別の国」と訴えているのだから、そうした動きになってくる。

 森さんは、前立腺の手術をし、肺がんになり、今は週2回の透析が続き満身創痍の体である。それでも83歳の体に鞭打って無報酬で働いてきた。

 世界各国と交渉し、組織委員会を束ね動かしてきた。スポーツ界に果たしてきたこれまでの実績も貢献も、何よりも五輪東京招致への尽力も一切語られずに、ひたすら批判の繰り返しに私は辟易し、涙が出る思いだ。

 幻冬社から出版した森さんの本「遺書 東京五輪への覚悟」に、五輪実現に命を懸ける姿が描かれている。是非読んでもらいたいものだ。


 日本人はいつからこんな狭量な人種になってしまったのか。最近の動きをみると日本人のおおらかさが全く感じられない。東日本大震災の時、日本人のすばらしさが称えられ、「絆」の大切さが語られたものだった。

 コロナ騒ぎが広まって、「マスク警察」まで現れた。テレビで報道されたが、マスクから鼻を出している老人に詰め寄り、何人かの人が力ずくで引きずり出す場面であった。

 正義を振りかざし、弱い相手を見つけると集団リンチ、集団いじめが始まる。今度の騒ぎでも感じたが「女性蔑視」ではなく「老人蔑視」の時代のようで侘しい。

 この騒ぎで一番喜んでいるのは国会では野党、都のレベルで小池知事ではないか。特に小池知事は「開催都市の長として残念に思う」とくりかえし、IOCと日本側との4者会談を欠席すると発言した。森さんを突き放したが、これも辞任の意向の一つの動機となっている。

 知事は劇場型のパフォーマンスが得意だ。かつては自民党都連との対立構造を作り、「都民ファーストの会」を立ち上げ、小池ブームを作って大勝した。

 都議選挙、衆議院選挙を前に、森叩きを演出し、批判をもとに対立構造を明らかにし、これを選挙戦術としているのではないか。

 千代田区長選挙で街頭演説を行い大勢の聴衆を集めて勝利した。コロナ対策で「密を避けてください」と連日東京都のコマーシャルで訴えた知事、矛盾しているのだが一向にかまわない。

 小池知事のこうした矛盾も含めて、都民に正しい判断をしてもらうよう全力を挙げることが大事だと思う。

 「森さん、本当にご苦労様でした。どうか体を大切に過ごしてください。」と、今はそれしか言う言葉が見当たらない。



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