第886回「困難を乗り越えて」

 深谷隆司の言いたい放題第886回

 「困難を乗り越えて」

 緊急事態宣言の31日までの延長が決まった。大型連休中の東京の感染者数が若干下がってきたので期待していた。しかし、検査数の減少が影響しているに過ぎず、都の発熱相談センターへの相談件数は過去最多で、これは感染者の増加に比例する傾向にあるので、実態は予断を許さない状況である。

 こう書いている時、速報が届いて今日(8日)の東京の感染者数は1121人と今の緊急事態宣言下で最多となってしまった。

 政府は短期決戦と宣言を出したのだが、効果が無かったということか・・・。では延長したらどうなるのか、出口の基準を明確に出していないのだから、みんな戸惑うばかりである。

 私の周囲から、特に酒類を提供する飲食店の悲鳴が聞こえてくる。いつも彼らが犠牲になるが、一体、飲食店の感染について医学的根拠がどれくらいあるのだろうか。おまけに路上飲み、公園飲みは放置されたままだ。

 国の方針について助言する立場の専門家会議の脇田座長までが「飲食店の営業時間短縮要請や大型施設の休業要請など、どれにどのくらいの効果があるか分析が難しい」と無責任なことを言っている。いつも首相の記者会見に立ち会い、専門家代表のような顔の尾身さんも、どこを向いて何を言っているのかわからない。

 あるキャリア官僚が「医者は目の前にいる人を助けるだけなので、来なかった人のことを考える必要が無い。そういう人に国家の方向性を決められるわけもない」と言っていた。

 知事には多くの権限があって、様々な対策がとれるのに、小池知事のようにパフォーマンスばかりで、責任回避が目立っている。なんだか国全体が緩んでいるようで不安である。

 あれだけ猛威を振るったイギリスは、感染率が減少して色々な規制解除に向かっているという。

 何故そうなったかと言えばロックダウンを3度も出して、個人の自由を一時封鎖してでも徹底的に感染を抑えたからだ。その上に昨年の12月以降ワクチン接種を積極的に行い国民の半数近くまで広がったことである。

 日本では、個人の自由が優先されて、緊急事態宣言を何度出しても「お願い」ばかりで、これでは「自粛」は徹底出来ない。

 本来、どこの国にも憲法に「緊急事態事項」があるが、日本にはそれが無い。無ければロックダウンなどできないのだ。 

 憲法は一字一句たりとも変えてはならないという変な議論に押されて、一歩も前進できない。

 憲法改正の手続きに関する国民投票法改正案が今国会中にようやく成立する見込みとなったが、これとて国会に提案されてから3年近くも経っているのだ。憲法改正についての世論は近年、賛成が多くなっている。国会議員はこうした声にしっかり答えるべきではないか。

 菅首相もせっかく天下を取ったのだから、もっと大局的立場で、やるべきことを積極的にやってもらいたい。

 謝罪などいらない。この国の行方を堂々と示し、先頭に立って、「国民ぐるみ」でこの危機を乗り越えるよう頑張って欲しいものである。



第885回「閉塞感、仕事山積」

 深谷隆司の言いたい放題第885回

 「閉塞感、仕事山積」

 コロナ死亡者が累計で1万人超えた。東京、大阪、兵庫、京都の4都府県で3度目の緊急事態宣言が発令された。一応5月11日までとなっているが、その先はどうなるのか、見通しが立たないことで一層不安が広がっている。

 特に大阪がひどい感染状況だ。最初、大阪府の吉村知事が政府に緊急事態宣言中止を要請し、これが停止してから1か月もしないうちに新規感染者が一気に増え、連日過去最高を記録するようになった。それでも平気な顔で記者会見をやっているが、自分の責任には知らんぷり、一体どういう神経なのか。

 東京の小池知事もパフォーマンスばかり、今度は「東京に来ないでください」と言い出した。近隣県から都内に通う通勤・通学者は1日およそ300万人を上回る。他県移動自粛要請はその実効性に首を傾げたくなる。

 酒提供禁止で飲食店など青色吐息、私のような酒飲みはそれだけで閉塞感が増す。さらに路上飲みが増え、逆に開いている周辺県の店に都内から客が向かうのではないかと心配である。

 知事の権限は大きい、「やれることは全てやる」の気概で真剣に取り組んでもらいたいものである。

 日本の科学や医学は進んでいると考えていたが、どうやらかなり遅れているようだ。

 自前のワクチンは無く外国に頼るばかり、その上、肝心の供給交渉も口約束程度であったという。

 菅首相は訪米してバイデン大統領と初の首脳会談を行った。予想以上に成果を挙げたと思うが、特にファイザー社のトップと電話会談を行い、追加ワクチン供給を約束したことはよかった。

 政府はコロナ接種に関し、大規模な接種会場を運営する検討に入ったという。東京、大阪で1日1万人規模の対応可能という。何をいまさらと思うが少しは前進か・・・。

 次期衆議院選の前哨戦と言われた菅政権初の国政選挙で自民党は3選挙区で全敗した。

 参院長野補選は亡くなった羽田氏の弔い合戦で、やむを得ない面もあるが、不戦敗を決めた衆院北海道2区は鶏卵汚職事件、参院広島再選挙は河井議員の買収汚職で、これでは勝てる筈もない。

 コロナをどう抑えるか、この影響を受けた人たちをどう救うか、オリンピックは大丈夫か、経済をいかに好転させるか・・・、全ては菅首相を中心に自民党がしっかり対応し、今ある課題を短期間で克服していくしかない。野党も体たらくでその支持は決して高くない。

 都議会議員選挙も含めて、私も老骨に鞭打って頑張らなければと思っている。

 月刊誌「Hanada」で中曽根先生の思い出を2回にわたって書いた。中曽根弘文参議院議員から丁寧な感謝の電話が入った。多くの方から激励が寄せられていて嬉しい。次回は田中角栄氏について書こうと思っている。目まぐるしく時代が流れている、どうやら私は実体験の「語り部」になっていくようだ。

 自民党政経塾の新入生の数が定員100人を超えましたと連絡が入った。16期生の入塾式は5月25日だがコロナ騒ぎがどうなるのか、昨年はオンライン授業が多く卒業式も会場で出来なかった。

 渋谷の温故知新塾は1月の入塾式以来、すべてオンラインで、いまだに塾生には直接会っていない。誠に残念だ。

 相変わらず講義の内容を推敲し、他の原稿も含めて1日5時間はキーボードをたたいている。

 頼まれている四季の絵も、4枚同時に描き始めている。結構忙しい日々なのである。


第884回「日々、感慨」

 深谷隆司の言いたい放題第884回

 「日々、感慨」

 まん延防止等重要措置が適用される直前の9日から3日間、聖徳太子1400年法要行事に参加するため京都を訪ねた。

 大法会は大阪府の叡福寺で行われたが、聖徳太子について温故知新塾の講義で取り上げようとしていただけに絶好のタイミングであった。

 聖徳太子は摂政(当時この名称はない)として推古天皇を支え、冠位十二階を定め、十七条憲法を制定した。冠位十二階は世襲の制度下にあっても、個人の能力によって登用させる道を開いた。

 十七条憲法は単なる掟ではなく、近代的意味においても憲法の名にふさわしい。世界最初の成文憲法はアメリカ合衆国憲法だが、その1200年前に日本は憲法を持っていたわけで、これは驚くべきことである。

 その第1条は「和を以て貴しとなす」とあるが、平和を国内に向けている。今の憲法は平和を外国任せにしているが、これは情けない話で、私が主張している憲法改正の必要性はここにもある。

 「独断せず、必ず衆と論ずべし」とあるが、これはおよそ1250年後の明治天皇の「五箇条ご誓文」、「広く会議を興し万機公論に決すべし」と全く同じである。 

 世界中が独裁国家の時代、日本には民主主義思想が根付いていたのである。

 607年、遣隋使を送ったが、小野妹子に持たせた親書に「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙なきや」と書いた。

 強大な軍事力を持った隋帝国は、自分の国が正しい文化を持った国、他の国は劣った野蛮な国だからこれを引き上げてやろうと考えていた。貢物を届ける国は臣下とみなした。今で言う傲慢な「中華思想」だ。

 太子の親書に皇帝煬帝は激怒したが、日本の国力を侮れぬと考え、逆に手厚く答礼使まで出した。隋と対等な関係を築いたのだ。中国の習近平に気を使う一部の政治家に見習ってほしいものである。

 聖徳太子大法会の式典中、私は様々な感慨をもって「来てよかったな」と改めて思った。

 あれから、国内はコロナ感染が更に拡大して大騒ぎだ。緊急事態宣言を自ら返上し、1か月もしないうちに感染再拡大した大阪など、知事の力不足も大きな原因だ。

 17日の産経新聞、「週刊誌ウォッチング」で花田紀凱氏は相変わらず歯に衣を着せず痛快な文を書いている。

 「尾ア治夫東京都医師会会長、尾身茂新型コロナウイルス感染症対策文科会会長の、第4波に入っているなどの発言を聞いていると、正直、その対策を講ずるのがアンタたちの仕事だろうと言いたくなる。」

 今週読んでいただきたいのは「週刊新潮」(4月22号)、笹井恵里子さんのリポート、「絶対断らない救急・湘南鎌倉総合病院コロナとの闘い」である。

 この病院の救命救急センターでは2020年には1万4858件の救急搬送を受け入れている。年間1万件以上を超えているのは東京都ではわずか2病院、全国でも10に満たないという。

 ここの医療関係者は地域の前線で働く使命感を持ち、明るいチームワークで戦っている。重要なのは地域開業医、病院同士の連携に心がけていることで、特に鎌倉医師会は山口会長を中心に全面的に協力している。その場合は病院が非常勤として雇用し責任は病院側が持つとしている。

 湘南鎌倉病院は徳洲会徳田虎雄氏が創設した病院である。かつて彼が国会議員の頃、私も「鎌倉病院は最高だから、がん検診を受けたら」と強く勧められたことがある。若かった私はがんなどの心配はないさと断ったものだ。

 徳田氏は政治力で医療を変えると奄美選挙区から立候補したが、金まみれ選挙を行って大きな話題をまいた。

 彼の信念は「命だけは平等だ」で、24時間365日オープンの病院を全国に拡大した。その理念が今も根強く残っているのが鎌倉病院であった。

 ご本人は、ALSという筋肉を動かす指令が脳から伝わらなくなり、手足や呼吸に必要な筋肉が痩せていく難病にかかっている。あの頃を思い出して心が痛む思いである。

 毎日いろいろなことがある。一つ一つが感慨深い・・・。



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