第884回「日々、感慨」

 深谷隆司の言いたい放題第884回

 「日々、感慨」

 まん延防止等重要措置が適用される直前の9日から3日間、聖徳太子1400年法要行事に参加するため京都を訪ねた。

 大法会は大阪府の叡福寺で行われたが、聖徳太子について温故知新塾の講義で取り上げようとしていただけに絶好のタイミングであった。

 聖徳太子は摂政(当時この名称はない)として推古天皇を支え、冠位十二階を定め、十七条憲法を制定した。冠位十二階は世襲の制度下にあっても、個人の能力によって登用させる道を開いた。

 十七条憲法は単なる掟ではなく、近代的意味においても憲法の名にふさわしい。世界最初の成文憲法はアメリカ合衆国憲法だが、その1200年前に日本は憲法を持っていたわけで、これは驚くべきことである。

 その第1条は「和を以て貴しとなす」とあるが、平和を国内に向けている。今の憲法は平和を外国任せにしているが、これは情けない話で、私が主張している憲法改正の必要性はここにもある。

 「独断せず、必ず衆と論ずべし」とあるが、これはおよそ1250年後の明治天皇の「五箇条ご誓文」、「広く会議を興し万機公論に決すべし」と全く同じである。 

 世界中が独裁国家の時代、日本には民主主義思想が根付いていたのである。

 607年、遣隋使を送ったが、小野妹子に持たせた親書に「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙なきや」と書いた。

 強大な軍事力を持った隋帝国は、自分の国が正しい文化を持った国、他の国は劣った野蛮な国だからこれを引き上げてやろうと考えていた。貢物を届ける国は臣下とみなした。今で言う傲慢な「中華思想」だ。

 太子の親書に皇帝煬帝は激怒したが、日本の国力を侮れぬと考え、逆に手厚く答礼使まで出した。隋と対等な関係を築いたのだ。中国の習近平に気を使う一部の政治家に見習ってほしいものである。

 聖徳太子大法会の式典中、私は様々な感慨をもって「来てよかったな」と改めて思った。

 あれから、国内はコロナ感染が更に拡大して大騒ぎだ。緊急事態宣言を自ら返上し、1か月もしないうちに感染再拡大した大阪など、知事の力不足も大きな原因だ。

 17日の産経新聞、「週刊誌ウォッチング」で花田紀凱氏は相変わらず歯に衣を着せず痛快な文を書いている。

 「尾ア治夫東京都医師会会長、尾身茂新型コロナウイルス感染症対策文科会会長の、第4波に入っているなどの発言を聞いていると、正直、その対策を講ずるのがアンタたちの仕事だろうと言いたくなる。」

 今週読んでいただきたいのは「週刊新潮」(4月22号)、笹井恵里子さんのリポート、「絶対断らない救急・湘南鎌倉総合病院コロナとの闘い」である。

 この病院の救命救急センターでは2020年には1万4858件の救急搬送を受け入れている。年間1万件以上を超えているのは東京都ではわずか2病院、全国でも10に満たないという。

 ここの医療関係者は地域の前線で働く使命感を持ち、明るいチームワークで戦っている。重要なのは地域開業医、病院同士の連携に心がけていることで、特に鎌倉医師会は山口会長を中心に全面的に協力している。その場合は病院が非常勤として雇用し責任は病院側が持つとしている。

 湘南鎌倉病院は徳洲会徳田虎雄氏が創設した病院である。かつて彼が国会議員の頃、私も「鎌倉病院は最高だから、がん検診を受けたら」と強く勧められたことがある。若かった私はがんなどの心配はないさと断ったものだ。

 徳田氏は政治力で医療を変えると奄美選挙区から立候補したが、金まみれ選挙を行って大きな話題をまいた。

 彼の信念は「命だけは平等だ」で、24時間365日オープンの病院を全国に拡大した。その理念が今も根強く残っているのが鎌倉病院であった。

 ご本人は、ALSという筋肉を動かす指令が脳から伝わらなくなり、手足や呼吸に必要な筋肉が痩せていく難病にかかっている。あの頃を思い出して心が痛む思いである。

 毎日いろいろなことがある。一つ一つが感慨深い・・・。



第883回「都の小池批判封じ」

 深谷隆司の言いたい放題第883回

 「都の小池批判封じ」

 タレントのカンニング竹山さんがテレビ生放送で東京都の広報動画の制作費用について誤った発言をした。放送時間内に訂正したにもかかわらず、訂正内容が都民に十分に伝わってないとして、東京都は竹山さんの所属事務所と番組を放送したTBSに抗議していることが分かった。

 過剰ともいえる東京都の対応について、これは小池都政への批判に対する明らかな言論封じだと私は白けた思いと、腹立たしさを感じた。

 問題になったのは、3月28日の「アッコにおまかせ」内での発言で、竹山さんは「全部じゃないけど、その内の1本に4.7億円かかかっている。血税でできているんですよ」などと、小池知事が自己宣伝の為に都民の血税を浪費している旨の発言した。その後、「広告全体の経費でした」と番組内で訂正し、謝罪したが、それにもかかわらずの抗議である。では東京都に聞くが、連日、小池知事が顔をさらし続けていたあのCM代金は今までいくら払ったのか。他の雑誌で11億円使い果たしたともあったが・・・。

 竹山さんは、この番組以外でも小池都政の問題を強く批判している。その一つ一つに私は同感し、よく頑張っているなと感心していた。

 タレントにとって特に弱いのは所属事務所、この場合は「サンミュージック」であるが、ここへの抗議が特にいやらしい、これでは今はやりのいじめの世界ではないか。

 竹山さんは他の番組でも痛烈な小池批判をやっている。「小池さんは知事として何もやっていない」と言い、私も全く同感だと思ったこと度々である。

 今、大阪で感染者数が拡大、東京も増加が続いている。大阪府知事は緊急事態宣言の解除を早く解くよう国に依頼し実現、その結果が今日のありさまで、一体その責任はどうなっているのかと聞きたい。小池知事の場合も同じで無責任、感染拡大を抑えるために具体的に何をやってきたのか全く疑問だ。

 大体、何かあると菅首相に直に物申し、効果が薄れると他の3知事を巻き込んで動員する。時には黒岩知事のように「小池に騙された」という場面もある。

 何か実現すると自分の功績のように吹聴し、あたかも政府が「後手後手」であったかのように批判、宣伝する。

 許せないのは嘘も多いことだ。前のニュースに、東京都の重症病床使用率「86%」が1週間後に「33%」に急減したことがあった。

 病床使用率が急減したのは、重症者の実態が大きく変化したからではない。分母の数、すなわち東京都の確定病床数が、従来の「500床」でなく、2倍の「1000床」だったと大幅に修正されたことによるものだった。それまで都は、厚労省から求められていた国基準の病床数をきちんと報告していなかった、つまり「嘘」だったのである。だから私は毎日東京都から発表される数字を信用できないと思っている。

 劇場型、作戦上手といわれてきたが、ただのパフォーマンスで、そこには近く行われる都議選挙への意識、あるいはその先の国政への思いもある。

 竹山さんの勇気ある訴えに、もっと多くの人たちが関心を持ち、正しい判断と、彼を支える行動を起こしてほしい。

 ちなみに。私の場合は月刊誌「Hanada」の連載や、塾の講義、一般の講演など多くの発言の機会を持つが、一般の人にはその機会が無い。そこで私も実践しているが、誰でもできる行動を紹介したい。はがき1枚、電話1本、東京都は勿論のこと、テレビ局などに自分の意見を届けることである。これは意外なほど大きな反響を生んでいるのだ。

 まともな世の中にしたい・・・と思う心、切である。








第882回「米国で日本人へ暴力」

 深谷隆司の言いたい放題第882回

 「米国で日本人へ暴力」

 米国ニューヨーク市を拠点にして活躍しているジャズピアニスト海野氏が昨年9月、数人の若者に襲われ右肩を骨折し、今は日本でリハビリ中との報道があった。元のようにピアノは弾けないという。

 今、アメリカ各地でアジア系住民を狙う暴力事件が頻発している。すでに2千件を超えるとの報道もある。

 要は中国湖北省武漢が発生源とされる新型コロナウイルス感染症への怒りや不安から発生した憎悪の結果だが、彼らにとっては中国人も日本人も同じ顔に見えて区別がつかないのだ。

 世論調査によると、米国では8割の人が中国に嫌悪感を持っているという。中国の覇権主義、人権侵害に対する厳しい批判が背景にあるのだが、その為に日本人が間違えられて暴行を受けるなど、とんでもないとばっちりである。

 海野氏に殴りかかったのは若い黒人グループである。かつて奴隷であった黒人に対する偏見は今も続いていて、それを背景にした警官による暴行事件が大問題になっている。

 黒人側もしばしば激しい抗議行動や暴動に近いデモ騒動を起こしている。

 虐げられている黒人が、今度は逆にアジア人にこうした暴行に及ぶというのは一体どういうことなのか。

 ヘイトクライム(憎悪犯罪)が更なる別の形の偏見を生んで広がっているということだとしたら、なんとも悲しいことである。


 最近の米国の動きを見て、私はかつて日本に対してあびせられた「黄禍論」を思い出す。

 黄禍論とはドイツの皇帝ウイルヘルム2世が「黄色人種の勢力が増えて白人支配体制が破られる危険がある」と言った日本に対する危機感である。

 日清日露戦争に勝利し台頭する日本に対して、西欧諸国が危機感を持った。特にイギリスから国際的中心力が移った米国は、アジアに進出しようとしていて、日本を第一の敵国と考えるようになった。

 日本人の頭蓋骨は2千年遅れていると言った、日本嫌いのフランクリン・ルーズベルトは、いずれ日本を潰さないといけないと考えた。

 機会を見てここいらの状況はいずれ書く所存だが、「大東亜戦争」の遠因はそこにあったと私は思っている。


 今、米国での日本人気は8割と言われ大変な日本びいきの時代だが、少し状況が変わったら、どう変貌するかわからない。 

 菅首相が訪米してバイデン大統領との初会談を行うが、こうしたことを考えて、心して対応して欲しいものだと思っている。

 どの国も自国の利害でものを考える、これは当然のことで、だから「黄禍論」が米国で再び起こらないなどと安易に思ってはならない。

 「黄禍論」まではいかずとも、米国が日本に求めるものは多く、これに応えなければどのような対応になるのだろうか。

 日本の最大の脅威は中国だが、これを封じ込めるのは日米同盟の強化だ。しかし、日本が何らかの攻撃を受けた時、米国はどこまで日本を守ってくれるのか、正直心もとないところがある。

 安全保障という観点から言えば、米国に頼る前に、まずは己の国を守る決意と体制を整えることが先である。しかし、その大事な部分の認識が政治家も国民も足りないように思えてならない。

 米国で起こった日本人暴行事件から、様々なことを考えることが肝要なのである。



   1 2 3 4 5..  次の3件>>